外国雑誌より
十二指腸潰瘍における胃切除術の遠隔成績
藤本 吉秀
1
1東京大学第二外科
pp.377
発行日 1966年3月20日
Published Date 1966/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203923
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わが国では,胃の2/3切除が胃十二指腸潰瘍に対する標準的手術々式として採用されており,それで術後に残胃や胃腸吻合部に潰瘍が再発することは非常に少ない.それに比べて,最近のアメリカの文献では,胃切除だけでは潰瘍再発率が相当高く,迷走神経切断を合併して行なう方法があらためて強調されてきたようである.この手術成績のちがいは入種的な素因によるものと思われる.今後日本において迷走神経切断術を検討するとしても,こういつた根本的な点における相違を念頭において行なう必要があると思う.
最近のRheaらの報告1)を見ても,十二指腸潰瘍に対して胃切除のみを行なつたときには,12%の症例が術後再発している.彼我の胃切除術の成績に大きな違いがあることをよく表わしているので,簡単に紹介してみたい.この報告は,従来胃の手術に対してよく研究を行なつているNashvilleのVanderbilt大学外科からのもので,最近10年間は胃幽門部切除に迷走神経切断を合併して行なう方法を標準術式として採用しているが,その前30年間は胃切除術が主として行なわれていた.すなわち胃の末梢側50〜70%を切除し,古典的なBil-lroth II法で吻合する方法である.遠隔成績の調査は,できる限り患者を直接病院に呼出して検査しているが,それのできないものでは患者本人ならびに家庭医に問合せ状を出して調べている.
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