特集 上腹部外科臨床の進歩
胃・十二指腸潰瘍症に於ける胃切除術の檢討
中谷 隼男
1
1東京遞信病院外科
pp.539-561
発行日 1952年11月10日
Published Date 1952/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201119
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I 緒言
胃・十二指腸潰瘍に対する手術的療法は現在普遍化して丁度30年程前の虫垂炎手術と同じようなことでは無いかと思われる.即ち潰瘍発生の機序に就ては説明し盡されているとは現在尚おいえないが,其外科的療法に関しては胃切除術を以て本筋となす可きことに異論はないようである.然しこゝまでに達するには幾多先人の苦心の跡がみられる.殊にその研究努力の中心をなせるものは矢張り潰瘍の再発殊に術後消化性空腸潰瘍の予防の問題と謂えるであろう.
v. Finsterer(1918)が潰瘍症は胃液の過酸と関係があるとして酸の分泌を制限するために切除範囲を大きくして胃底腺領域を広汎に切除することを唱えて以来,切除術は胃液分泌の第一相(脳相)及び第二相(胃相)の除去,從つて減酸,無酸を目標としている.即ち胃の少くとも2/3以上の切除を目標とし,米國方面では5/6を切除す可しと謂う向もある位である.
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