Japanese
English
論説
遠隔成績からみた胃・十二指腸潰瘍に対する広範囲胃切除術の適応
Indication of gastrectomy for gastric or duodenal ulcer based on late result
姉歯 安正
1
,
佐藤 良友
1
,
渡辺 麟也
1
,
鎌田 常明
1
,
菊地 金男
1
Yasumasa ANEHA
1
1国立仙台病院外科
pp.409-414
発行日 1973年3月20日
Published Date 1973/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205771
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はじめに
胃および十二指腸潰瘍に関する手術方法は迷走神経切離,胃切除または幽門成形を中心に種々試みられているが,手術適応の決定,手術術式の選択は外科医によつてまちまちな現状である.しかし迷走神経切離や幽門成形など,胃切除以外の術式を用いる様になつたのはわが国ではごく近年のことで,それまでは胃,十二指腸潰瘍に対する手術術式として胃切除術が広く行なわれ,しかもかなりの好成績を得ているのである.近時,胃をできるだけ温存して小範囲切除にとどめる試みや,胃切除以外の方法による手術が行なわれており,いずれも理に適つた治療法ではあるが,今まで行なわれてきた胃切除範囲を2/3以上とする広範囲胃切除術も,その良好な成績を顧るとき決して捨て去つてよいものではないと考える.
われわれの外科に入院する胃,十二指腸潰瘍の症例は,多くの内科医から手術を依頼されて送られてくる症例であるが,われわれはこれらの全例について,原則として適応の是非をあまり問題にせず,DEMEL氏線を基準として潰瘍部を切除するいわゆる広範囲胃切除術を行なつてきた.従つてその手術成績を検討して,各症例の術前状態を振りかえれば,どの様な症例に行なつた胃切除術が最も効果的であつたかを知ることができるわけである.かくしてわれわれは遠隔成績の良否に関係する因子を求め,帰納的に胃,十二指腸潰瘍に対する広範囲胃切除術の適応を探ろうと試みた.
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