特集 外科と保険診療
救急医療と健康保険
岩本 正
1
,
岩本 正信
2
1東北大学医学部整形外科学教室
2東北大学医学部病院管理学教室
pp.1593-1598
発行日 1964年12月20日
Published Date 1964/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203484
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
わが国の医療保険には多くの種類があるが,その診療報酬は社会保険診療報酬規定が基礎になつているようだ.社会保険(以下,健康保険とよぶ)には,沢山のよいところもあるが,速急に改善を要するところも少なくない.今回は外科的救急医療に関する健康保険の規定について痛切に感じられた問題についてのべて事態の改善に資したいと思う.
その前にまず外科的救急医療とはどういうことであるかということを決めておかねばならない.従来から救急処置,応急処置などといわれていたものは,特殊な学会などで論ぜられるものは別として,どうもわが国ではずいぶん簡単なものであつて,たとえば主として創傷の処置,それも小さい切創とか,挫創,打撲傷,挫傷,範囲のせまい熱傷などに対する処置をいつているようであり,救急法と銘を打つた成書をみても,家庭医学的な創の消毒法とか,包帯法とか,またはceremonialな血管指圧止血法などの域をでていないものが多いようである.健康保険においてもそうした程度の考えにとどまつているらしいことは,そのいろいろの規約をみてもわかるし,後に示した2,3の具体例からも明らかである.
Copyright © 1964, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.