Japanese
English
薬剤
整形外科手術におけるTachostyptanの使用経験
Clinical study of Tachostyptan in some orthopedic operations
三原 茂
1
,
淸水 通生
1
,
奥苑 直行
1
,
兼光 智
1
,
黑川 典男
1
Shigeru MIHARA
1
,
Michio SHIMIZU
1
,
Naoyuki OKUZONO
1
,
Satoshi KANEMITSU
1
,
Norio KUROKAWA
1
1長崎大学医学部整形外科教室
1Department of orthopedic Surgery, Nagasaki University, School of Medicine
pp.199-202
発行日 1958年2月20日
Published Date 1958/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202149
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
吾々が外科的臨床に当つて常に念頭におかなければならぬことは,手術時の患者の完全なる無痛と,術後の感染防止と共に無用なる失血をさけることである.近時麻酔法の発達,化学療法の進歩とによつて手術時の無痛と感染防止とはほゞ完全なる域にまで到達したと云えるであろう.しかるに失血に対する試みは幾多の研究者の努力にもかゝわらず未だ多く検討の余地をのこしている.強力なる止血剤を使用して失血を最小限にとゞめようとする試みは誠に当を得たものであり,今日数多くの止血剤が市販され吾々もひろくこれ等を使用する機会を持つものであるが,その2,3のものを除いては作用機転もあいまいで且期待する程の効果も得られず,なかなか満足すべきものが少い.
止血剤をもつとも効果的に使用するには凝血機構を充分に理解しておかねばならない.凝血機構は1905年Morawitzが酵素学説を発表して以来幾多の変遷を重ねて近来は極めて複雑なものとなつておるがこれを要約図解すれば第3図の如きものとなる.すなわち凝血過程は活性トロンボプラスチンの生成をもつてその第1歩がふみ出されると云えよう.トロンボプラスチンは血漿トロンボプラスチノーゲンより生成される血液トロンボプラスチンと,組織より放出される組織性トロンボプラスチンとが理解されている(凝固実験に使用する家兎脳抽出液が組織性トロンボプラスチンであることは云うまでもない).
Copyright © 1958, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.