臨牀例
所謂キユツトネル氏病の2症例について
北岡 義尊
1
1日本醫科大學松倉外科教室
pp.37-41
発行日 1946年9月10日
Published Date 1946/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200173
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第1章 緒言
所謂キユツトネル氏病とは慢性炎症性唾液腺腫で,非特異性慢性炎症機轉により唾液腺が腫脹,硬結を來たしたものである。唾液腺では顎下唾液腺を犯すことが最も多い,本症に關する文獻を徴するに,1896年Kuetnerが「炎症性顎下唾液腺腫瘍に就て」と題し,一論文を公にしたのが最初で我國では,明治40年,岩鳩寸三氏が,日本外科學會雜誌8囘2號にその1例を報告したのが最初のものである。而して我國に於ては,氏以來,最近舟生氏に至るまでその報告數は35例に過ぎない。
本症が臨床上興味ある點は本症が比較的稀有なものに屬する點,及び,他疾患,就中,肉腫,或は,癌腫の如き惡性腫瘍と誤れら易い點である。
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