臨牀例
蝦蟇腫の症状を呈したる舌下腺粘液纎維腫の1例
浦元 力時
1
1東京帝國大學醫學部都築外科教室
pp.35-36
発行日 1946年9月10日
Published Date 1946/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200172
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蝦蟇腫は我々の遭遇する口腔底腫瘍のなかでは最も多いのであるが,著者は最近臨床上恰も蝦蟇腫の症状を呈した舌下腺粘液纖維腫の1例を經驗したので茲にその概要を報告する。
患者は30歳の家婦,既往歴,兩親健在,同胞は8人で,その中第4子が肺炎,第6子が赤痢,第7子が腸チフスで死亡してゐるほかは全部健在,患者はその第3子として生れ,幼時健康,初潮は16歳で,以來ほゞ順調,19歳の時甲状腺の所が少し腫脹し,動悸,息ぎれ等が起り,醫師にバセドウ氏病らしいといはれたが,甲状腺部の腫脹は間もなく自然に癒つた。しかし動悸は今でも少し過勞をすると起るといふ。26歳の春,健康な男子と結婚,28歳の10月一兒を分娩,現在3歳で健康である。この産褥中,左滲出性肋膜炎になつたが,醫治により3ケ月位で治癒した。
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