増刊号 ERAS時代の周術期管理マニュアル
Ⅳ 術中・術後合併症とその管理
1.消化器系
門脈・脾静脈血栓症
杉本 博行
1
,
小寺 泰弘
1
Hiroyuki SUGIMOTO
1
1名古屋大学大学院医学系研究科消化器外科学
pp.232-236
発行日 2014年10月22日
Published Date 2014/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200042
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最近の知見と重要ポイント
□血栓症の原因として,①血流停滞,②血管内皮傷害,③血液凝固能亢進,が古くからVirchowの三徴として知られているが,門脈切除再建時はこれらの条件をすべて満たす.特に門脈吻合部の狭窄や捻れがあると容易に血栓を形成する.
□腹腔鏡手術では血栓症発症の危険性が高いとされており,肝硬変,炎症性腸疾患,血栓性素因など危険因子を有する症例においては,特に周術期門脈血栓症に注意が必要である.
□深部静脈血栓症に対する関心が高まり,肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症に関するガイドラインの公表や新たな薬剤の開発とともに周術期抗凝固療法が積極的に行われるようになってきている.門脈・脾静脈血栓症に対する予防的治療法のエビデンスはないが,危険因子を有する症例においては今後検討する必要がある.
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