増刊号 ERAS時代の周術期管理マニュアル
Ⅳ 術中・術後合併症とその管理
1.消化器系
イレウス
李 相雄
1
,
河合 英
1
,
内山 和久
1
Sang-Woong Lee
1
1大阪医科大学一般・消化器外科
pp.237-239
発行日 2014年10月22日
Published Date 2014/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200043
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最近の知見と重要ポイント
□イレウス(腸閉塞)は,腸管に器質的な閉塞起点が存在する「機械的イレウス」と,腸管の麻痺や痙攣,血行障害などに起因する「機能的イレウス」に分類される.さらに機械的イレウスは血行障害の有無により「単純性イレウス」と「複雑性イレウス」に分けられる(表1).なお,欧米では機械的イレウスを“bowel obstruction”,機能的イレウスを“ileus”として区別している.
□腸管の血流障害を伴う病態である絞扼性イレウスは,的確な診断と迅速な外科的処置が必要となる.また,発症時には血流障害を伴わない腸閉塞が,経時的に複雑性イレウスに移行する場合があることを銘記する.
□術後早期の経口摂取は,一般的に腸管運動を促進させ,排ガス・排便までの時間を短縮させる.しかしながら,高齢者や全身併存疾患を有する症例では,術後の腸管麻痺が遷延し,麻痺性イレウスに至ることがある.対応の遅延により誤嚥性肺炎や敗血症,ひいては縫合不全などの重篤な合併症が続発する危険性があり注意する.
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