特集 術前画像診断のポイントと術中解剖認識
Ⅱ.胃・十二指腸
胃癌―幽門側胃切除術
藤原 道隆
1,3
,
三澤 一成
2
,
田中 千恵
3
,
小林 大介
3
,
小寺 泰弘
3
Michitaka FUJIWARA
1,3
1名古屋大学大学院医学系研究科クリニカルシミュレーションセンター
2愛知県がんセンター中央病院消化器外科
3名古屋大学大学院医学系研究科消化器外科学
pp.60-67
発行日 2013年10月22日
Published Date 2013/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104787
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はじめに
癌の手術において術前に重要となる画像情報は,従来,腫瘍の進展,他臓器浸潤,遠隔転移などのstaging,切除可能性の診断と,肝などの実質臓器においては臓器内脈管系の情報であった.腸管の手術においては,脈管系ナビゲーションの重要度は実質臓器ほどではなかったが,腹腔鏡下手術導入期には,動脈の拍動など触覚の欠如を補うものとして,血管系の画像情報支援が期待された.しかし,今世紀に入って特にハイビジョン・スコープを使用した腹腔鏡下手術の発展(いわば「腹腔鏡下手術時代」)に伴い,手術中の画像から得られる情報が飛躍的に増大し,細かな血管走行や筋膜の構造が手術中によくわかるようになり,外科解剖について多くの新たな知見が生まれた.
本稿では,切除可能性の診断に関してはすでに多くの成書もあるので割愛し,血管走行に関して術前画像検査で何をおさえておくべきかと,術中判断すべき解剖バリエーションを中心に解説したい.
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