特集 術前画像診断のポイントと術中解剖認識
Ⅱ.胃・十二指腸
胃癌―噴門側胃切除術
布部 創也
1
Souya NUNOBE
1
1がん研有明病院消化器センター外科
pp.52-59
発行日 2013年10月22日
Published Date 2013/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104786
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はじめに
噴門側胃切除術(PG)は,主に上部早期胃癌症例に対する機能温存手術として位置づけられている術式である.術後生存期間やQOLの維持に関するエビデンスは乏しいので,胃全摘術との比較において,適応についての議論の余地は残されているものの,2008年4月改訂の保険点数にも収載されており,広く普及した術式の1つと考えるべきである.
当科においては残胃が2/3以上残存する上部早期胃癌を腹腔鏡による本術式の適応としている(LAPG).そのため,UM領域の広い0~Ⅱc病変などは適応から外れることとなる.切除範囲については幽門側胃切除術と異なり,どのような再建法を採用するにせよ術後の逆流性食道炎を考慮すると残胃は大きいほうがよいと思われる.
リンパ節郭清範囲については『胃癌治療ガイドライン―医師用2010年10月改訂,第3版』1)に従う.本改訂から術式ごとのリンパ節郭清範囲が規定されており,噴門側胃切除は通常,早期胃癌を対象とするため,D1+(#1,2,3a,4sa,4sb,7,8a,9,11p)を郭清範囲と考えるのが妥当であろう.後胃動脈沿いのリンパ流は,特に上部胃癌では重要と考えられるため,脾動脈に沿って,後胃動脈根部周囲までの#11pはしっかり郭清したいところである.
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