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あとがき
島津 元秀
pp.448
発行日 2012年3月20日
Published Date 2012/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104017
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本号の特集は「消化器外科のドレーン管理を再考する」である.従来,ドレーンについては日本では経験則で議論されてきたが,海外では多くのrandomized controlled trial (RCT)が行われ,エビデンスに基づいた客観的な検討がなされている.その結果については特集内でも述べられているが,日本の臨床現場においてはどの程度受け入れられているのであろうか.
当然のことながら,ドレーンの必要性は,手術侵襲の程度,術野の汚染度,患者側のリスク,術者の力量・性格など複合的な要因で決定されるので,画一的に決められるものではない.しかし,虫垂切除,胆囊摘出,大腸切除,肝部分切除など定型的な低侵襲手術におけるドレーンの必要性については,多くのRCTがルーチンの使用を推奨していない.不必要なドレーンを使用しないという原則は,ドレーン関連合併症の回避,早期離床,ならびに医療経済的にも有益である.一方,頻度は低いとはいえ,偶発した縫合不全や腹腔内膿瘍を,ドレーンが留置されていたために新たな侵襲を加えることなく保存的に治癒できた経験は多くの外科医が持っていることであろう.
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