--------------------
あとがき
島津 元秀
pp.752
発行日 2010年5月20日
Published Date 2010/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407103076
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
本号の特集は「消化器外科手術における新しい潮流」である.新しい術式を臨床応用するには,動物を用いた基礎的な検討や,その術式の前段階の手術についての多くの臨床経験が必要である.また現在では,実施にあたって倫理委員会や適応委員会などの客観的な審査を要することも少なくない.さらに,患者への十分な「説明と同意」が必須であることは言うまでもない.
従来は,医師が主導する治療について素人である患者が正確に理解するように努力する姿勢は医師・患者相方に乏しかった.もちろん,以前から「説明と同意」は両者の間で行われてきたことであるが,その内容についての今昔の差は大きい.最近では「インフォームド・コンセント」としてリスクとベネフィットについて具体的なデータを示して詳しく説明するようになった.十分な「説明と同意」は診療を円滑に行うために不可欠であり,医師の義務,患者の権利として尊重すべきであることに異論はない.しかしながら,高難度手術やハイリスク手術の場合,その内容はしばしば患者にとって不安や緊張を与えるものとなり,その治療への期待と希望を削ぐ結果になることもあるのではないだろうか.
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.