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特集 腹壁瘢痕ヘルニア治療up date
腹壁瘢痕ヘルニアの現状と治療の問題点―“常識”の再確認と“常識”の打破と
Incisional abdominal hernia―conventional vs. current“commonsenses”
稲葉 毅
1
Tsuyoshi INABA
1
1帝京大学医学部外科
キーワード:
腹壁瘢痕ヘルニア
,
筋鞘縫合
,
tension-free
Keyword:
腹壁瘢痕ヘルニア
,
筋鞘縫合
,
tension-free
pp.938-942
発行日 2010年7月20日
Published Date 2010/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407103113
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要旨:近年,専門疾患として腹壁瘢痕ヘルニアの認識が高まっている.その発生率は施設によって異なるが,渡會ら(日外感染症会誌,2009)の報告した7.7%が目安となろう.原疾患としては悪性腫瘍が増加し,メッシュ補強後の再発も増えてきた.筋鞘の癒合が予防に重要であることに違いはないが,最近は筋鞘の縫い代を狭くしたほうが発生が少ないという報告もされており,従来の常識が変化している.縫合糸はmonofilamentで抗張力保持期間が長い合成吸収糸が発生予防によいようであるが,結論は出ていない.治療術式ではtension-freeの重要性が広く認識されてきたが,メッシュか自己組織か,開腹法か腹腔鏡法かの優劣は明確ではなく,患者の状態と術者の手技習熟度とで選択するのが現在の最良の方法であろう.新素材の製品が次々に登場しているが,それぞれに利点・欠点がある.外科医としてはよいものは取り込みつつ,企業に振り回されることのないように心がけるしかない.
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