特集 できる!縫合・吻合
Ⅲ.部位(術式)別の縫合・吻合法
7.膵・脾
膵-空腸吻合:tube法
吉田 宗紀
1
,
羽廣 健仁
1
,
旗手 和彦
1
,
黒山 信一
1
,
石井 健一郎
1
,
竹下 知親
1
,
三枝 陽一
1
,
美原 静香
1
,
大井田 正人
1
,
西元寺 克禮
1
Muneki YOSHIDA
1
1社会保険相模野病院消化器病センター
pp.336-339
発行日 2009年10月22日
Published Date 2009/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102833
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はじめに
膵切除後の膵-空腸吻合の合併症として,短期的には膵液漏と縫合不全,長期的には膵管吻合部の閉塞が挙げられる.前者ではときに致命的となり,後者では慢性膵炎の急性増悪を繰り返し最終的に膵機能の廃絶につながる.膵-空腸吻合に限らず,膵切除後の膵-消化管吻合を行ううえで最も重要なのは,このような合併症が起こらないような適切な吻合法を選択することと,確実な手術手技を行うことである1).
端側の膵-空腸吻合で吻合部にステントチューブを留置する方法(以下,tube法)は膵液ドレナージと膵管ステンティング効果によって前述の術後合併症が少ないといわれている.最近では,チューブを入れないno-stent法も多く行われているが2),これには確実な膵-空腸粘膜吻合が要求される.実際にはほかに複雑な要素が加わるためtube法とno-stent法の統計学的な有意差は明らかではないが,tube法に術後膵液漏が少なかったというRCTの報告もみられ3),経験の少ない術者や膵管が細い症例などで不安が残る場合はtube法を選択するのがよいと考える.
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