特集 縫合・吻合法のバイブル
Ⅲ.部位(術式)別の縫合・吻合法
9.膵・脾
膵—空腸吻合—膵管—空腸粘膜縫合法
天野 穂高
1
,
高田 忠敬
1
,
吉田 雅博
1
Hodaka AMANO
1
1帝京大学医学部第1外科
pp.331-333
発行日 1998年10月30日
Published Date 1998/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903410
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はじめに
膵—空腸吻合の縫合不全は腹腔内出血などの重篤な合併症の原因となり,さまざまな消化管吻合法の中で術者が最も気を遣う吻合法の1つである.したがって,縫合不全を防止するために幾多の工夫がなされており,施設ごと,術者ごとに術式の相異を認める.これまで本邦では膵管径が太いものでは粘膜縫合法が行われ,また膵管径が細いものでは完全膵管ドレナージによる吻合(膵管挿入法)が多く行われてきた.しかし最近では膵管—空腸粘膜縫合法が縫合不全が少なく1,2),膵管の開存性の点からも良好であるとし,次第に取り入れられるようになってきた.現在,筆者らは膵管拡張の有無にかかわらず全例に膵管—空腸粘膜縫合法を用いている2).
ここでは,膵頭部領域癌に対する筆者らの標準術式である,Traverso変法による再建法を用いた幽門輪温存膵頭十二指腸切除術の際の,膵管—空腸粘膜縫合法による膵—空腸吻合の実際について述べる.
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