特集 縫合・吻合法のバイブル
Ⅲ.部位(術式)別の縫合・吻合法
9.膵・脾
膵—空腸吻合—tube法
加藤 紘之
1
,
近藤 哲
1
,
平野 聡
1
,
近江 亮
1
,
安保 義恭
1
,
奥芝 俊一
1
Hiroyuki KATO
1
1北海道大学医学部第2外科
pp.337-339
発行日 1998年10月30日
Published Date 1998/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903412
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はじめに
膵—空腸吻合に関する多くの論文が輩出しており,多くの議論がかわされてきた.いずれも各自が経験と慣れの中でコツを取得し,良好な成績をあげている.しかし今日なお,トピックスとして取り上げられ議論が尽きない事実は,臨床の現場ではなお問題をかかえており,さらなる工夫と対策が必要なことを物語っている1).ちなみに1997年日本膵切研究会(嶋田紘会長)におけるアンケート調査結果2)によれば,膵—空腸吻合に伴う縫合不全発生頻度は6〜8%であり,縫合不全が発生した場合の致死率は5〜18%である.この調査の膵—空腸吻合は3,281例を対象としており,死亡36例は1.1%に相当する.このような背景をふまえて,本稿では膵—空腸吻合—tube法について述べるが,ステントチューブは一時的ドレナージとして有用なのであって,吻合の基本はあくまでも膵管—空腸粘膜吻合であることをご理解願いたい.
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