特集 吻合法—目でみるポイントとコツ
消化管吻合法
器械吻合—食道空腸吻合
遠藤 光夫
1
,
高崎 健
1
1東京女子医科大学消化器病センター外科
pp.851-853
発行日 1983年6月20日
Published Date 1983/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208345
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器械
現在われわれが臨床に用いている食道用腸管吻合器(TKZ-F 3000)(図1)は,その原理はソ連製の腸管吻合器(アンドロゾフ式PKS−25,SPTU)であるが,臨床面における多少の欠点を改良した国産のものである.器械の全長は40cm,吻合部口径は26mmである.先端頭部は,手許のネジ操作で本体から押し出されたり,引き戻されたりする.先端頭部の本体と接する面の外周にはクリップの受け溝があり,その内側にビニール製の円形の板を装着する.これは,本体からの円形刃を受けるマナ板の役をしている.本体先端部の外周には,12本のクリップを装着し,手許のハンドルを握ると,ロッドにより,クリップと円形刃が本体より押し出され,頭部との間に挾んだ腸管を切離し,同時にクリップで内飜縫合することになる.クリップは,幅4mm,足高4.5mmで,平板型のタンタルム合金製である.
器械での吻合は,誰がやつても同じようにいくのが特色であるが,器械吻合を完全にうまくいくようにするためには,少なくとも術者が自分で点検しておくことが大切である.自験例でうまくいかなかつた以前の症例をみて気づいたことは,(1)クリップのカートリッジを正確に本体にはめこんでいるか,つまり,目印がきちんと一致しているかを確かめる.これは,少しづれても,クリップが頭部の受け皿に正確に入らず,クリップが内側に屈曲せず,きちんと縫合されないからである.
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