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特集 直腸癌治療―最近の進歩と動向
温熱化学放射線療法を併用した進行直腸癌に対する内括約筋切除術―肛門機能温存のポイント
Surgical techniques for preservation of anal function on intersphincteric resection combined with preoperative hyperthermo-chemoradiation therapy for locally advanced rectal cancer
浅尾 高行
1
,
桑野 博行
1
,
堤 荘一
1
,
櫻井 英幸
2
,
塩谷 真理子
3
,
中野 隆史
3
Takayuki ASAO
1
1群馬大学大学院医学系研究科病態総合外科学
2筑波大学大学院人間総合科学科放射線腫瘍学
3群馬大学大学院医学系研究科放射線腫瘍学
キーワード:
下部進行直腸癌
,
術前温熱化学放射線療法
,
内括約筋切除術
Keyword:
下部進行直腸癌
,
術前温熱化学放射線療法
,
内括約筋切除術
pp.331-337
発行日 2009年3月20日
Published Date 2009/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102496
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要旨:進行下部直腸癌に対して術前温熱併用化学放射線療法を行い,19.3%に組織学的complete response(CR)を,50%に臨床的CRを得た.治療前にT3以上の症例の53%で内括約筋切除術(intersphincteric resection:ISR)の適応となるT2以下にdown stageされたことから,直腸切断術の約半数は術前治療併用ISRによって肛門温存が可能になると予想される.肛門管の持つ肛門静止圧,肛門知覚,粘膜脱防止機構がISRによって損なわれるが,肛門管組織の部分的な温存や肛門吻合時の運針の工夫により機能障害を最小限に抑えることが重要である.術前放射線化学療法においては,局所再発予防に加えて,腫瘍縮小による肛門温存の可能性の拡大と切除範囲を小さくすることによる温存術後の機能保持に期待が寄せられている.直腸進行癌の治療において,肛門外科で蓄積されてきた機能再建技術と術前放射線化学療法の応用は根治性と機能温存を両立させるために不可欠であり,放射線科,腫瘍内科,骨盤外科,肛門外科を含めた集学的な協力関係が求められる.
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