臨床外科交見室
地方の私立総合病院小児外科の小さな挑戦―患者と医師の立場
末 浩司
1
Koji SUE
1
1飯塚病院小児外科
pp.207
発行日 2009年2月20日
Published Date 2009/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102468
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しばらくぶりに投稿させていただきました.前回の投稿で「小児外科」の名称の存亡を論じましたが1),「小児外科」消滅の前に私が倒れてしまいました.2008年5月の外来診療後に倒れ,現在,リハビリと外来診療を続けながら再起を目指しています.退院して今度は,患者の立場から書いてみたくなりました.
突然の入院は青天の霹靂で,絶対に味わいたくないことです.しかし,医療従事者としてもっと早くに味わっていたら患者の気持ちがもっとわかっていたのかもしれません.姉からは「これで医者として一人前になれたね」と言われ,「そうかもね」と素直に返事をしました.いや,それでもやはり二度と味わいたくない経験だったのです.われわれ医療従事者は日常,患者さんの気持ちなど無視して仕事をしていたのかもしれません.「CT検査を行えば,もっとはっきりします」と言いながら,患者さんには一大決心をさせていたのです.残酷な判決を自慢げに,さもよかったかのように告げていたかもしれません.誰もが手術が成功することを願ってはいますが,患者さんがうまくいかないときを考えるのは当然です.こんなことになるなら患者にもっと優しくすればよかったと深く反省しているこの頃です.特に自己主張のできない患者の子供たちには,治療がどこか虐待のように捉えられた場面もあったかもしれません.
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