カラーグラフ エキスパート愛用の手術器具,手術材料・2
超音波外科吸引装置(CUSA)―肝実質離断操作の基本操作とそのコツ
寺嶋 宏明
1
,
山岡 義生
1
Hiroaki TERAJIMA
1
1田附興風会北野病院消化器外科
pp.149-154
発行日 2009年2月20日
Published Date 2009/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102458
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CUSAの基礎知識と原理
CUSAはCavitron社製のultrasonic surgical aspirator(超音波外科吸引装置)の略であり,本来は最初に販売した社名に由来する商標名であるが,現在は超音波外科吸引装置の通称となっている.開発当初は白内障に対する乳化吸引装置として使用され1),その後,様々な領域で応用されるようになった.肝切除での応用は1984年が最初で2),それ以降1990年代にかけて出血量の減少や手術時間短縮などの有用性が報告された3,4).
CUSAの使用に際しては,その作用原理を理解しておかなければ十分に使いこなせないばかりか,不必要な組織傷害を引き起こすことになる.超音波吸引とは,超音波の組織選択性を利用し,脆弱組織のみを超音波振動で叩き,破砕・乳化・吸引する技術である.超音波発生装置で発生させた電気エネルギーをハンドピースに内蔵されているトランスデューサーによって超音波振動に変換し,ハンドピース先端に取り付けたチップを縦方向に振動させる.チップは発振周波数23~38kHzで0~300μmの振幅で振動し,先端に接触する水分含量の多い組織を選択して破砕・乳化させる.生理食塩水がハンドピースのチップとプラスチックのカバーの間を流れるようになっており,この生食が術野を洗浄することで破砕組織が浮遊し,血液を洗い流して操作域を見やすくする.破砕組織や血液はチップ先端より吸引される(図1).
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