臨床外科交見室
地方私立総合病院小児外科の小さな挑戦―鼠径ヘルニア手術からみた小児外科の現状
末 浩司
1
Koji SUE
1
1麻生飯塚病院小児外科
pp.332
発行日 2006年3月20日
Published Date 2006/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100385
- 有料閲覧
- 文献概要
民間病院の小児外科医は小児人口の減少(=小児外科患者数の相対的減少)やDPC(diagnosis procedure combination)の導入で,よりいっそうの経営感覚を必要とされている.つまり,収入を増やす努力をしながら支出を減らす努力もしなければならない.しかし現状をどこまで改善できるのだろうか.本稿では,鼠径ヘルニア手術を例に入院日数や手術経費などで考えてみる.
鼠径ヘルニア手術は日帰りか1泊か2泊か.当科では数年前から従来の2泊3日を1泊2日としたのち,さらに1歳以上の症例は日帰りに,1歳未満は1泊2日とした.地方では,いまだ日帰りに踏み切っていない施設が多いが,東京や大阪などの中央の大都市では以前から小児鼠径ヘルニア手術は日帰りという施設が多くなっている.日帰り手術は患者の保護者の束縛時間が少なく,若く働き盛りの親が多い小児外科領域では受け入れられてきている.患者の住居が病院から車で30~60分であれば術後の急な再来を考えても十分に日帰りができる.しかし,現状は必ずしも患者数の劇的増加とはなっていない.地方の小児人口減少のなかで患者数の増加はあまり望めないようだ.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.