臨床外科交見室
地方の私立総合病院小児外科の小さな挑戦
末 浩司
1
1飯塚病院小児外科
pp.454
発行日 1998年4月20日
Published Date 1998/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903153
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近年の少子高齢化傾向は,都会の小児専門病院ならいざ知らず,地方の私立総合病院の小児科や小児外科にとっては死活問題である.患者数の減少はイコールその科の衰退を意味する.まして当院のような私立病院の場合,患者が減れば内外の風当たりも強くなるのは当然で,そうかといって地域の小児外科としての役目を果たす必要もありスタッフの心は痛むばかりである.しかも年々景気は悪くなる一方,親もこどもの入院のために何日も休めない,まして老人をかかえた家庭ならますますそれも難しいという現状もある.
この状況をただ見過ごしていれば患者は自然に減っていく.減らないまでも現状を維持できるかどうか不安である.遠方からの患者まで呼び込もうなどと大それたことは考えていないが,せめて診療圏周辺の患者は確保したい.こちらに目をむけてもらうには診療面で特色を出すしかない.考え抜いたあげく,入院期間の短縮に積極的に取り組むのも,ひとつの手段かもしれないと思うようになった.じゃ,思い切って小手術(簡単な手術なんてないが!?)は日帰りにしてしまおう,そのほうが親も病院やこどもの病気に,もっと目を向けてくれるかもしれない.これは決して患者側の状況にあわせているのではなく,自然発生的にでてきた結果であった.
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