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インドのニューデリーで開かれた学会に参加してきた.ビザが必要であることから,旅行社を介して申請することにしたが,雲行きが怪しくなった.学会の参加ということでビザ申請に必要な用紙が送られてきた.学会の招待状,大学の推薦状等が必要であり,また申請用紙は父の名前まで記入しなければならないものであった.この歳になって父の名前が必要とは思いもよらなかったが,一応すべての項目を埋めた.招待状はメールによるものを印刷して添付した.書類を作り上げ,旅行社の方に手続きをしてもらう段になって,問題が起きた.招待状は正式な文書でなくては認められないとのことであった.あわてて,インドの学会本部に正式な招待状を依頼したが,なかなか届かない.
在日インド大使館に電話してみると,ビザは別の部局(よく分からないが,どこかに委託しているのか?)の担当であるとのこと.早速そこに電話をしてみた.やはり正式なものでなくては駄目だという.こちらも感情的になり,「インドは医学会の参加に否定的なのか」などと激しくやり取りをしたが,当然のごとく先に進まない.あきらめざるを得ないかと思い始めたとき,ある会合で某大学の教授に会った.インドのビザの話をしたら,彼は関西にある領事館に直接書類を持っていったという.厄介な書類を出そうとしたら,事務員が「それは大変面倒ですから引っ込めて,観光ビザを申請してください」と言い,あっという間にビザの収得ができたとのことであった.
早速試してみると,あっという間に観光ビザを得ることができた.インドの学会でアメリカの知人とこの話をすると,彼もまったく同じ体験を披露した.彼は私より10歳年上であり,父親の名前の記入欄について理解することができなかったとのこと.さらに彼は銀行の預金先まで提出させられたらしい.今思うとアメリカの金融危機の先取りであったのだろうか.
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