コーヒーブレイク
漢字に感じる
板野 聡
1
1寺田病院外科
pp.1776
発行日 2008年12月20日
Published Date 2008/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102417
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- 文献概要
日頃の臨床現場で多くの患者さん達に接していますと,目の前の仕事に押し流されて,個々の患者さんへの対応が疎かになりかねません.「なるほど忙しいと心が亡くなっていくものだ」と感じさせられ,初心を忘れるものだと反省することになります.また,重症の患者さんがいますと,その方の検査データの動きに右往左往することにもなりますが,検査結果の動きを眺めているうちに,「なるほど,上がって下がれば山を越し,それが峠を越すということか」と納得できることにもなります.
人は夢を抱き,その実現のために努力をしますが,泡のように消えてしまうことのほうが多いようで,臨床医としては治って欲しいと願ってはみても,病気によっては難しく,また人の寿命には勝てません.「やはり人の夢は儚いものなのだ」と自分を慰めることになります.夢を実現するためには心に願うだけではなく,口に十回も出して願わなければならず,そうすれば叶うこともあるのかもしれません.しかし,口で言ってもそれが成らなければ,やはり誠を尽くしたとは思って貰えないのも医療者の辛いところではあります.
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