--------------------
あとがき
跡見 裕
pp.1020
発行日 2009年7月20日
Published Date 2009/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102646
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
外科医療が大変なことになりそうだ.いや,すでに危機的状況になっている.厚生労働省のデータベースによると,外科医は1996年で24,919人,2006年では21,574人と実に13.4%の減少であった.外科志望者の推移をみると,臨床研修制度が導入される直前の2005年に行なった日本外科学会の調査では1980年代後半をピークとして,2000年以降ではピーク時の80%まで減少していた.全国医学部長病院長会議の調査によると,大学帰学医師の診療科別増減では外科志望者は臨床研修制度発足前の2/3と著しく減少している.つまり,外科志望者は減り続いていたのが,臨床研修制度でそれが一層加速したのである.
一方で,手術を必要とする悪性腫瘍患者は増加の一途をたどり,その多くが消化器・一般外科の治療対象となる.さらに,病院の統廃合などの集約化によって1病院あたりの手術件数は増えつつある.外科医が減少し,手術件数が増加すれば外科医の労働量は必然的に増えることになる.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.