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あとがき
跡見 裕
pp.300
発行日 2008年2月20日
Published Date 2008/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102053
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第69回日本臨床外科学会(会長・草野満夫:昭和大学教授)が横浜で開催された.そこで,「刑事訴訟と外科系診療」と題する特別企画があった.本誌の編集委員である炭山教授と私が座長を担当したが,主題名に刑事訴訟が入った企画はあまりないこともあり,どのような議論になるのかやや不安であった.広い会場はほぼ満員で,外科医の関心の高さをうかがわせるものであった.
そもそも,医療行為に関する議論のなかで刑事訴訟が出てくるのは異常な話である.福島県立大野病院の産婦人科医が逮捕されたことは,外科医に大きな衝撃を与えた.容疑は,業務上過失致死と医師法第21条違反である.医師法第21条は異状死の届け出の義務に関するものであるが,異状死とはどのようなものかの合意がなされていない時点で,拡大解釈ともとれる運用をしたことの問題は大きいといえる.もともと届け出をするべき異状死とは,目視で体表に事件を疑わせる異状な所見があるものをいうのであろう.すなわち,首に縄の模様があるときや,腹部にナイフが刺さっている場合などである.これを医療行為にまで持ち込むのはどうしても無理がある.
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