特集 St. Gallen 2007に基づいた乳癌テーラーメイド補助療法
乳癌術後補助療法の進歩と今後
園尾 博司
1
Hiroshi SONOO
1
1川崎医科大学乳腺甲状腺外科
pp.1045-1047
発行日 2008年8月20日
Published Date 2008/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102216
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はじめに
乳癌の術後補助療法(補助療法)は患者の生命予後を左右する重要な治療である.近年の補助療法の進歩は著しい.LHRHアゴニスト(以下,LHRH-A),アロマターゼ阻害剤(aromatase inhibitor:以下,AI)などのホルモン療法剤,抗癌剤タキサン(T)が登場し,従来のアントラサイクリン(A),抗エストロゲン剤タモキシフェン(TAM)との組み合わせによる補助療法の成績が欧米を中心に次々に報告され,治療成績の向上がもたらされている.また最近,分子標的治療薬トラスツズマブが補助療法に加わり,さらに大きな進歩を遂げつつある.わが国の補助療法は,ここ10年間で専門施設を中心に標準化され,主としてSt. Gallen(ザンクトガレン)コンセンサス会議(以下,St. Gallen会議)の推奨と日本乳癌学会の乳癌診療ガイドライン1)に基づいて行われている.最近のSt. Gallen会議は2005年と2007年に行われ,大幅な改訂が行われた2,3).また,2007年には日本乳癌学会により薬物療法のガイドライン第2版が刊行されている1).本稿では乳癌術後補助療法の進歩と今後について概説する.
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