綜説—今月の臨床
乳癌の術後補助療法
稲治 英生
1
,
元村 和由
1
,
野口 眞三郎
1
,
小山 博記
1
1大阪府立成人病センター外科
pp.1173-1178
発行日 1994年9月20日
Published Date 1994/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901633
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Ⅰ.はじめに
一般に乳癌は化学療法や内分泌療法がよく奏功する腫瘍と考えてよい.しかし,いったん再発した乳癌にとって,こうした治療法の果たす役割は,その奏功率はともかくとして決して根治的たりえない.ところが,補助療法としての化学療法や内分泌療法が健存率や生存率の向上に寄与していることは疑いようのない事実であり,術後のmini-mal residual diseaseに対しては,しばしば根治的であることを意味する.
さて,補助療法の評価にあたって,各種のバイアス要因を排する目的で,全世界の無作為試験を集計したoverviewがEarly Breast CancerTrialists' Collaborative Group(EBCTCG)によりなされた(1992年)1).その解析結果は頻回に引用されており,多くの読者はその繰り返しを望まれないと思うので要点のみにとどめ,本稿では,主としてそれ以降に刊行された補助療法に関する論文について重点的に解説を加える.
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