外科学温故知新
「外科学温故知新」連載終了によせて
桑野 博行
1
Hiroyuki KUWANO
1
1群馬大学大学院医学系研究科病態総合外科学
pp.829-830
発行日 2008年6月20日
Published Date 2008/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102163
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【外科学の「今」と「これから」,そして「これまで」】
外科を志す医師の減少が危惧されるようになってから久しい.職場環境,経済的側面,労働条件,リスクの問題など多方面からの課題が指摘されており,これに対し行政の面から,また日本外科学会をはじめとする多くの組織,団体による努力が重ねられている.このような多角的,多面的な数々の莫大なる貢献を多とするものであるが,教育の現場においてもわれわれが何かできることはないかと自問自答を繰り返す毎日である.
そのような現況において,われわれが次世代に伝える,もしくは啓蒙することとして,やはりこの「外科医」という存在に「誇り」を持つこと,およびその環境を提供することが肝要ではないかと思われる.このことは臨床の場,研究の場,教育の場において何も尊大な気持ちを持つことではなく,自己の内面においてその矜持を保つということである.その際に重要なことは,世間にもてはやされることではなく,1人1人の患者さんに心を砕いて接し,必ずしも患者さんの満足する結果が得られない場合でも,その人間性によって対応していくことである.
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