外科学温故知新・35
呼吸器外科
佐藤 裕
1
Hiroshi SATO
1
1誠心会井上病院外科
pp.825-827
発行日 2008年6月20日
Published Date 2008/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102162
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従来,呼吸器外科医が扱う疾患は国民病とまで言われた肺結核や,肺化膿症,肺膿瘍といった感染症が主体であったが,耐性菌の出現という問題はあるものの,それらが有効な化学療法剤の開発により克服されていくことにより,対象疾患は肺癌へと変わってきた.
さて,癌に対する外科治療の歴史は,取りも直さず多くの先駆者たちの悪戦苦闘・試行錯誤の歴史でもあるが,たとえば胃癌に関してはBillrothの名前が特筆されるように,肺癌の外科治療の歴史を論じる際に重要なのが1933年に発表されたGraham(Evarts Ambrose Graham:1883~1957年:図1)による気管支の扁平上皮癌に対する肺切除手術の報告である.本稿ではこのGraham論文を紹介することにより,自分に与えられた責務を果たしたい.なお,肺切除手術の歴史的変遷に関しては文末に数編の参考文献を掲げておくので参照されたい.
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