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がん看護専門看護師(OCNS)は,2020年8月現在,全国で881名となり,教育課程修了後は,さまざまな組織(病院,訪問看護ステーション,教育機関)や職位(管理者,スタッフ等)で,役割開発が求められています.
専門看護師(CNS)は,「実践」「相談」「調整」「倫理調整」「教育」「研究」の6つの役割があります.その中でOCNS自身が考える6つの役割が,患者・家族・医療チームから期待されるOCNSの役割に一致しているのか,自分たちの活動が,ジェネラリスト,所属施設の管理者,他職種などに対して適切に伝わっているのか,「見える化」「言語化」することにOCNS自身がむずかしさを感じているという声が聞かれます.その背景として,「周囲にOCNSがいない」「ロールモデルがいない」「これができれば高度看護実践であるといえるものがない」「アセスメントや意図的な実践のプロセスが周囲にわかりにくい」などの現状があります.
過去の研究でも,CNSが役割を獲得する過程について「組織のみでなく,周りのスタッフから認めてもらえない苦しみに苛まれている」「理想のCNSのイメージに近づけない実情がプレッシャーとなる」「CNSの役割が明確でないコンフリクトの時期は非常に苦しい」と報告されています.
そこで,2019年の第33回日本がん看護学会学術集会で,『がん看護専門看護師が役割を言語化するには』というテーマで交流集会を開催したところ,役割を言語化することに課題をもつOCNSやOCNS候補生,管理者などに多数参加いただきました.自らの実践を振り返り,今後の具体的な行動計画につながったと好評でした.
本連載では,CNSの役割である「実践」「相談」「調整」「倫理調整」「教育」「研究」に焦点をあてて,役割開発の軌跡をリレーエッセイで伝えていただきました.OCNSの皆さまには,役割開発の過程で抱える悩みや課題について,悩んでいるのは自分だけじゃないと進むべき道と勇気が示されたのではないでしょうか. また,OCNSと協働する読者の皆さまにも,CNSの役割や活動について理解いただけたのではないでしょうか.
本連載が,今後のがん看護をともに発展させていく力につながることを期待しております.
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