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特集 膵臓外科の新たな展開
IPMN以外の囊胞性膵病変の手術適応と治療成績
Operative indication and outcome of pancreatic cystic lesions except IPMN
森谷 敏幸
1
,
木村 理
1
Toshiyuki MORIYA
1
1山形大学医学部消化器・一般外科
キーワード:
MCN
,
SCN
,
囊胞性膵腫瘍
,
手術適応
Keyword:
MCN
,
SCN
,
囊胞性膵腫瘍
,
手術適応
pp.1665-1669
発行日 2007年12月20日
Published Date 2007/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101965
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要旨:膵囊胞性腫瘍は病理組織学的には多種類の腫瘍に分類されている.それぞれの腫瘍において悪性度や予後に大きな差があるため術前診断が重要であり,それに則した治療を行わなければならない.本稿ではIPMN以外の囊胞性病変としてMCN(mucinous cystic neoplasm)とSCN(serous cystic neoplasm)の手術適応と治療成績について述べた.MCNは良・悪性の術前診断が困難であり,診断がつけばすべて手術適応になる.5年生存率は腺腫~非浸潤癌でほぼ100%であり,浸潤癌で約17~50%である.卵巣様間質のないもののほうが悪性度が高い.SCNはほとんどが良性と考えられており,わが国では術前に診断がつけば経過観察が可能であると考えられている.しかし,欧米では切除の傾向が強く,また悪性例の報告もあることから,今後は経過観察の妥当性を検討していく必要がある.なお,SCNは3亜型に分類されている.Microcystic typeは典型的な蜂巣状の画像を呈し,術前診断が可能と思われる.Macrocystic typeはMCNとの鑑別が難しい場合は手術適応になる.Solid typeはislet cell carcinomaとの鑑別が困難な場合は手術適応となる.完全切除ができれば術後生存率はほぼ100%に近い.
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