膵癌update
Ⅳ 鑑別疾患と類縁疾患 ⑤その他の膵囊胞性腫瘍
奥野 のぞみ
1
,
水野 伸匡
1
,
桑原 崇通
1
,
岩屋 博道
1
,
原 和生
1
1愛知県がんセンター中央病院消化器内科部
キーワード:
SCN
,
MCN
,
SPN
,
膵囊胞性腫瘍
Keyword:
SCN
,
MCN
,
SPN
,
膵囊胞性腫瘍
pp.916-923
発行日 2018年5月25日
Published Date 2018/5/25
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000414
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膵臓の囊胞性疾患には,仮性囊胞,真性囊胞,囊胞性腫瘍,壊死性腫瘍など多くの種類があり,CTやMRIなどのモダリティの進歩により偶発的にみつかることも少なくない.原因によって悪性度や予後が異なり,治療方針が大きく変わるため,その診断は非常に重要であるが,鑑別診断が困難であることから,症例によっては外科切除による診断的治療が行われているのも現状である.
1978年にCompagnoとOertelは,膵囊胞性腫瘍が良性より悪性へと連続する粘液囊胞性腫瘍と完全に良性の漿液性囊胞腺腫の2系統に分類できることを報告した.その後,1982年に大橋らが今でいう膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinousneoplasm;IPMN)を予後の良い膵癌として“粘液産生膵癌”と名づけ,その疾患概念を初めて報告した.1996年にWHOは粘液産生囊胞性膵腫瘍を粘液囊胞性腫瘍(mucinous cystic neoplasm;MCN)とIPMNの二つに明確に区分し,MCNは間質にovarian‒type stroma(OS)が存在する腫瘍であることを定義した.本稿では,日常診療において診断に苦慮することも多い粘液囊胞性腫瘍(mucinous cystic neoplasm;MCN),漿液性囊胞腫瘍(serous cystic neoplasm;SCN),充実性偽乳頭状腫瘍(solid pseudopapillary tumor;SPN)を中心に非典型例の症例提示を交えて解説する.
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