カラーグラフ 診療に役立つ肉眼像と組織像の理解―マクロからミクロ像を読む・1
食道良性疾患
加藤 広行
1
,
宮崎 達也
1
,
斉藤 加奈
1
,
桑野 博行
1
Hiroyuki KATO
1
1群馬大学大学院医学系研究科病態総合外科学
pp.5-13
発行日 2006年1月20日
Published Date 2006/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100321
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はじめに
近年,診断学の進歩は著しく,なかでも光学医療や画像診断学は消化器疾患の診療に欠かすことのできない検査法として広く普及している.食道疾患では,色素内視鏡や超音波内視鏡の進歩による早期食道癌症例の著しい増加に伴い,内視鏡的粘膜切除術や粘膜下層剝離術が一般的になりつつある.さらには,拡大内視鏡検査などによる質的診断能の向上を認めている.それに比べて食道良性腫瘍の発生頻度は低く,Suzukiら1)の全国集計の報告によると11,932例中149例で1.2%に過ぎない.そのなかで平滑筋腫が約60~70%と最も頻度が高い.良性腫瘍の診断は,一度見たら忘れないような特徴的な疾患もあるが,内視鏡形態学的に鑑別に難渋する場合も少なくない.悪性腫瘍に類似する良性の疾患,なかでも粘膜下腫瘍の形態をとるものでは,ほかの画像診断として超音波内視鏡やCT検査,FDG-PET検査などと組み合わせて腫瘍の質的診断を行うことが必要である.
本稿では,食道良性疾患の内視鏡検査による肉眼所見とその組織像を中心に症例を呈示し,その病態を含めて概説する.また,悪性腫瘍のなかでも非常に稀であり低悪性度を示すMALTリンパ腫の症例も呈示する.
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