カラーグラフ 内視鏡外科手術に必要な局所解剖のパラダイムシフト・14
内視鏡下乳房温存手術
山形 基夫
1
Motoo Yamagata
1
1日本大学医学部外科学講座外科3部門
pp.1481-1490
発行日 2005年12月20日
Published Date 2005/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100291
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
◆◆◆
はじめに
乳房温存療法は早期乳癌におけるルーチンな治療法として普及し,年々その適応を拡大してきた.しかし,適応の拡大によって,本来,整容性の保持を目的として施行される術式であるべき本術式において,温存=乳房の形態が術前と同様に保持されるという用語のイメージとはほど遠い外観となってしまう症例も経験されるようになった1).すなわち,乳房温存に対する医師のイメージは乳腺を残存させる術式であるのに対し,乳房が術前と同様に残せるという患者の印象との間に格差が生じている.この点で,乳房温存に対する再建方法の開発と厳格な適応の決定が必要と考えられる.一方,内視鏡補助下乳房温存手術は乳房上に残る創を最小限にとどめる点では優れているが,乳腺切除後の再建については従来と同様の方法を用いていたため,切除体積の増加に伴う整容性の低下は否めなかった.
それゆえ,乳房温存療法における整容性の保持には,縫合による再建を極力避け,充塡法などによって欠損部を補塡することが重要である.現在,われわれは酸化セルロース(サージセル(R):ジョンソン・エンド・ジョンソン社)を用いた充塡法を施行しており良好な結果を得ている.本稿では,これを含めて乳輪アプローチによる内視鏡下乳房温存手術の手技とコツについて述べる.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.