Japanese
English
特集 Duchenne型筋ジストロフィー症
Duchenne muscular dystrophy(DMD)のDNA診断
DNA Diagnosis of Duchenne Muscular Dystrophy
松本 正
1
Tadashi Matsumoto
1
1長崎大学医学部小児科
1Department of Pediatrics, Nagasaki University School of Medicine
キーワード:
DMD
,
Southern blot
,
PCR
,
gene daletion
,
RFLPs
Keyword:
DMD
,
Southern blot
,
PCR
,
gene daletion
,
RFLPs
pp.421-428
発行日 1991年5月1日
Published Date 1991/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406902064
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緒言
DMDの遺伝子座位がXp21に存在することはX染色体/常染色体転座を有する女性DMD患者の存在から推測された1)。1983年,Daviesら2)はX染色体短腕上のDNAプローブを用いたSouthern blot法により,X染色体短腕(Xp)に存在するプローブRC8により検出される制限酵素断片長多型(RFLP)とDMDとの連鎖を示した。その後,RFLPを示す多数のXp上のDNAプローブ(marker)が単離され,これらのマーカーとDMDとの連鎖解析による保因者診断,出生前診断が試みられてきた3)。しかし連鎖解析による保因者診断は,単独では確定困難な場合があり,家系図,血清CPK値などを総合した判定が必要であり,特に孤発例の家系においては確定は困難であった。
染色体分析は分子遺伝学の進歩に大きな貢献をなしている。特に高精度分染法の開発により遺伝子座位のより正確な決定,微小な染色体欠失が検出可能となっている。DMDに関してはKunkelら,Wortonらの2グループが染色体異常を示すDMD患者から別個にDMDの遺伝子単離に成功した。KunkelらはXp 21に染色体欠失を有する男性DMD患者から逆行遺伝学の手法を用いてpERTシリーズのDNA配列群を単離し4)それをもとにDMD遺伝子のcDNAを取得した5)。WortonらはX染色体/21番染色体転座を有する女性DMD患者から転座X染色体結合部(junc—tion)のDNA配列であるXJシリーズのプローブ群を取得した6)。
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