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特集 新組織学シリーズⅡ:骨格筋—今後の研究の発展に向けて
Ⅲ.骨格筋を障害する疾患の注目すべき病態
デュシェンヌ型筋ジストロフィーの中枢神経障害
Brain dysfunction in Duchenne muscular dystrophy
橋本 泰昌
1
,
青木 吉嗣
1
Hashimoto Yasumasa
1
,
Aoki Yoshitsugu
1
1国立精神・神経医療研究センター神経研究所遺伝子疾患治療研究部
キーワード:
デュシェンヌ型筋ジストロフィー
,
DMD
,
精神・神経症状
,
ジストロフィン・アイソフォーム
,
Dp
,
mdxマウス
,
アンチセンス核酸医薬
Keyword:
デュシェンヌ型筋ジストロフィー
,
DMD
,
精神・神経症状
,
ジストロフィン・アイソフォーム
,
Dp
,
mdxマウス
,
アンチセンス核酸医薬
pp.565-568
発行日 2021年12月15日
Published Date 2021/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201444
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Duchenne型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy;DMD)は,X染色体(Xp21.2)上に位置するDMD遺伝子の変異により発症する希少神経・筋難病である1)。出生男児3,500-5,000人に1人の割合で発症し,臨床経過として2-5歳時に歩行の異常を呈し,徐々に筋力低下が進行し,11-13歳ごろから独り歩きができなくなる。30年前までは10歳代後半で死亡することが多かった。しかし,現在では骨格筋と心筋を対象としたステロイド治療および人工呼吸器管理と心臓デバイス治療を含めた最善のケアにより,生存期間が延長した2)。
近年,DMDの筋を狙ったアンチセンス核酸医薬であるビルトラルセンの開発により,治療対象組織を拡大する動きが加速しつつある3)。仮に全身の筋機能が改善され寿命を更に延ばすことができるようになれば,ジストロフィン欠損を呈する脳の状態も改善させることが求められると考えられる。その結果,コミュニケーション能力や社会適応能力の向上により,高いQOLや自立した社会生活を有意義に送ることができるであろう。そこで本稿では,DMDの中枢神経障害の原因や病態を解説する。
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