筋組織病理図譜・3
進行性筋dystrophy症—Duchenne型 その1
桜井 実
1
,
保坂 武雄
2
1東北大整形外科
2国立西多賀病院整形外科
pp.242
発行日 1972年3月25日
Published Date 1972/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904665
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筋力の低下を来たす疾患の中で学令期前に転び易い症状に始り,やがて起立動作が第1図のようないわゆる攣登性起立を示す場合は本疾患が先ず疑われる.腰殿部,大腿部などの筋力低下により脊柱の特有な前彎が見られ,またしばしば腓腹筋の肥大を伴う.原則的には伴性劣性遺伝により男子に発症する.血清のCPK,aldolase,LDH,GOT,GPTの上昇が認められる.EMGは低電位,干渉波が特徴.
この症例は10歳で,その後筋萎縮が進行し臥床したままになつた.筋標本は前脛骨筋中央部より採取したもので第2図に見られるように直径の大小不揃いが最も特徴的で,大方のものが細くなる一方,逆に非常に太い線維が出現する.筋鞘核の中心移動を示すものが沢山見られ,筋線維の間隙に結合織が増殖し,所により脂肪組織が入り込んで来る.細胞浸潤は認められない.
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