Japanese
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特集 Duchenne型筋ジストロフィー症
dystrophin抗体の診断への応用
Clinical Diagnosis of Duchenne Muscular Dystrophy using Anti-dystrophin Antibodies
荒畑 喜一
1
Kiichi Arahata
1
1国立精神・神経センター神経研究所
1National Institute of Neuroscience, NCNP
キーワード:
Duchenne muscular dystrophy
,
dystrophin
,
anti-dystrophin antibody
Keyword:
Duchenne muscular dystrophy
,
dystrophin
,
anti-dystrophin antibody
pp.411-419
発行日 1991年5月1日
Published Date 1991/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406902063
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緒言
筋ジストロフィーは,遺伝性筋萎縮症のうち最も代表的な疾患であるが単一の疾患ではない。そして,臨床経過や罹患筋の分布および遺伝形式などの違いから幾つかのタイプに分類されているが,このうち,最も頻度の高い(約6割を占める)代表的な筋ジストロフィーがデュシャンヌ型(Duchenne muscular dystrophy:DMD)である18),20)。DMDは新生男児3,000-4,000人に1人の割合で発症するが,患児は通常2〜4歳頃に転びやすい,走るのが遅い,階段の昇降がおかしい等の異常で気づかれ,主として四肢近位筋優位の筋力低下と筋萎縮を認める。症状は常に進行性であり,10歳頃から歩行不能に陥り,25歳頃までに呼吸不全または心不全にて命を落とすという,極めて予後不良の経過をとる。
なお臨床的にDMDの良性タイプとされているベッカー型(Becker muscular dystrophy:BMD)はDMDと同様の遺伝形式,臨床症状を示すが,発症年齢は一般にDMDより遅い。とくに患者が歩行不能に陥る年齢によってDMD(<11歳),BMD(>15歳),中間型(11〜15歳)と区分する学者もいる。発症頻度はおよそDMDの10分の1程度である。現在では,DMDとBMDは同一遺伝子のヘテロな欠陥による疾患(al—lelic disease)であることが判明している29,30,39)。
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