Japanese
English
特集 グリオーマの生物学
グリオーマの成長・栄養因子
Growth Factors and Neurotrophic Factors with Relevance to Gliomas
長島 正
1
Tadashi Nagashima
1
1帝京大学医学部附属市原病院脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Teikyo University School of Medicine, Ichihara Hospital
キーワード:
glioma
,
growth factor
,
neurotrophic factor
,
receptor
,
autocrine
Keyword:
glioma
,
growth factor
,
neurotrophic factor
,
receptor
,
autocrine
pp.214-226
発行日 1997年3月1日
Published Date 1997/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901076
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
一般に細胞を培養する場合,培地に10〜20%の血清を加えることが必要であるが,この血清中には細胞の生長・増殖に必須な複数の因子が含まれていることが古くから知られていた。これらの中で,これまでに同定されたものはほとんどがポリペプチドであり,それらを総称して「成長因子」と呼んでいる。この成長因子は「growth factor」の訳語であるが,他に増殖因子という言葉も広く用いられており,両者は同義語として使われている。また,近年は神経栄養因子と呼ばれる一群のポリペプチドが注目されている。これは,成長・増殖よりむしろ神経細胞の生存維持や分化誘導に関わっており,その意味で栄養因子と呼ばれているが,先の成長因子の中には神経栄養因子としての活性をもつものも多く,両者にはオーバラップしている因子が多数みられる(表1,2)。これらの因子の中で脳腫瘍,特にグリオーマの成長・増殖や生存維持,時に分化誘導に働く因子をグリオーマの成長・栄養因子と表現してここで取り上げてみたい。
本来こうした成長・栄養因子は正常細胞の成長,増殖や分化誘導に携わる物質で,生体内でそれぞれが重要な生理的役割を担っている。
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.