Japanese
English
特集 グリオーマの生物学
グリオーマの遺伝子異常
Genetic Alterations of Gliomas
田渕 和雄
1
,
福山 幸三
1
Kazuo Tabuchi
1
,
Kouzou Fukuyama
1
1佐賀医科大学脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Saga Medical School
キーワード:
glioma
,
oncogene
,
tumor
,
suppressor
,
genetic alteration
Keyword:
glioma
,
oncogene
,
tumor
,
suppressor
,
genetic alteration
pp.205-213
発行日 1997年3月1日
Published Date 1997/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901075
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I.はじめに
代表的ながん抑制遺伝子であるRB遺伝子やP53遺伝子が同定されてから十年近くが経過した。種々のがん抑制遺伝子産物の機能の解明について,現在研究が進められているが,個々の症例で実際に,腫瘍組織や末梢血リンパ球を用いて遺伝子異常を検出するには,依然としてかなりの労力を強いられる。PCR(polymerase chain reaction)やin situ hybridizationなどの手法も煩雑な実験手技が原因となってfalsenegativeやfalse positiveとなることも少なくない。検索対象である組織片中の腫瘍細胞と正常細胞とを完全に分離できない場合には,結果の信頼性が低下する。免疫組織化学的手法は,従来の組織形態学による病理診断に大きな変革をもたらした。しかし,PCR—SSCP(single strand conformation polymorphism)解析やDNA sequence解析は,いまだに病理診断のroutine workとはなっていない。
近年,神経系遺伝性疾患の原因遺伝子が次々と明らかにされている。NF1,NF2,VHL遺伝子の同定に続いて,achondroplasia,Crouzon病22),さらにHunchington病やDystrophia myotonicaなどのtriplet repeat diseaseの原因も遺伝子レベルで解明されるようになってきた。
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