Corticobasal degenerationの病理

Neuropathology of Corticobasal Degeneration

I．はじめに

　1967年ボストンのRebeizら^65）は，運動拙劣，歩行障害，種々の不随意運動，眼球運動障害など多彩な症候を呈した3例を既知の疾患単位には当てはまらないとして，剖検所見をもとに"corticodentatonigraldegeneration with neuronal achromasia"の名で報告した。その後，Gibbら^22）はRebeizらの報告例を再検討するとともに自らも3剖検例の報告を行いcor—ticobasal degeneration（CBD）と呼ぶことを提唱した。

　CBDは孤発性で通常60歳台に発症し，罹病期間は数年から10年近くに及ぶ。初発症状は麻痺を伴わない運動障害か，または無動，筋固縮，小刻み歩行，姿勢反射障害などのパーキンソニズムを主とする。さらに経過中，前頭葉徴候，痴呆，眼球運動障害，ミオクローヌス，ジストニア，深部腱反射亢進など多彩な症候を伴う^{22,66,68,69）}。また，比較的長期にわたり初発症状に左右差が認められることも特徴の1つとされる^68,69）。