Japanese
English
総説
家族性筋萎縮性側索硬化症とCu/Zn superoxide dismutase遺伝子変異
Familial Amyotrophic Lateral Sclerosis and a Mutation of Cu/Zn Superoxide Dismutase Gene
中野 亮一
1
,
辻 省次
1
Ryoichi Nakano
1
,
Shoji Tsuji
1
1新潟大学脳研究所神経内科
1Department of Neurology, Brain Research Institute, Niigata University
キーワード:
ALS
,
Cu/Zn superoxide dismutase
,
free radical
Keyword:
ALS
,
Cu/Zn superoxide dismutase
,
free radical
pp.529-534
発行日 1995年6月1日
Published Date 1995/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900794
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I.はじめに
筋萎縮性側索硬化症amyotrophic lateral sclerosis(ALS)と臨床,病理学的によく類似した運動ニューロン疾患が時に強い家族集積性を示すことが古くから知られており,家族性筋萎縮性側索硬化症familialamyotrophic lateral sclerosis(FALS)と呼ばれている。その頻度は明らかではないが,欧米ではALS全体の約5〜10%程度を占めると言われており1),多くの家系では常染色体優性遺伝型式をとり,浸透率も高い。FALSは不均質な疾患群であって2),病理学的にも一般に大きく2群に分けられる。1つは孤発性ALSと同様に錐体路と脊髄前角に病変が限局される群(古典型)であり,もう1つは古典型の運動ニューロン病変に加えて後索中間根帯,Clarke柱,脊髄小脳路にも変性,神経細胞の脱落を認め,残存ニューロン内にLewy小体様の硝子様封入体(hyaline inclusion)の出現を認める群(後索型3))である。FALSの半数以上が後索型であると言われている。FALSの臨床症状は孤発性ALSと類似し,下位運動ニューロン徴候を主体とするが,上位運動ニューロン徴候は欠くか,軽微であることが多い。後索型では下肢の筋萎縮で発症することが多く,孤発性ALSと比較すると球麻痺は少ない。また孤発例と異なり感覚障害や精神症状,錐体外路症状などを合併する症例も存在する。
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