Japanese
English
総説
家族性筋萎縮性側索硬化症の病理—SOD1変異との関連において
Familial Amyotrophic Lateral Sclerosis With or Without Mutation of the Cu/Zn Superoxide Dismutase Gene
高橋 均
1
Hitoshi Takahashi
1
1新潟大学脳研究所病態神経科学部門病理学分野
1Department of Pathology, Brain Research Institute, Niigata University
キーワード:
familial amyotrophic lateral sclerosis
,
autosomal dominant
,
Cu/Zn superoxide dismutase gene
,
dorsal column involvement
,
neuronal inclusion
Keyword:
familial amyotrophic lateral sclerosis
,
autosomal dominant
,
Cu/Zn superoxide dismutase gene
,
dorsal column involvement
,
neuronal inclusion
pp.535-541
発行日 1995年6月1日
Published Date 1995/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900795
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I.はじめに
家族性筋萎縮性側索硬化症(Familial amyotrophic lateral sclerosis, FALS)は,ALSのなかで約5〜10%を占めるとされ,その多くは常染色体性優性遺伝形式を示している19)。本症を病理形態学的見地からみたとき,それには少なくとも異なる2つの型が存在している10)。1つは古典的ALSと同じ病理像を呈するものであり,他は脊髄前角と錐体路の変性に加え,後索中間根帯,クラーク柱,脊髄小脳路の変性を示すもの(いわゆる後索型)である4,8)。後者の後索型では,残存している下位運動ニューロンの胞体内にしばしばLewy小体様封入体(Lewy body-like hyaline inclu—sion, LBHI)と称される特徴的封入体が認められる8)。この後索型は,本邦でもこれまで多くの剖検例が報告15,32)されてきており,本型はFALS全解剖例のおよそ70%にあたると言われている24)。このようなことが知られているFALSに関して,近年1つの大発見が報じられた。それはSiddiqueらのグループによってなされたものであり,FALSのあるものは第21染色体長腕に位置しているCu/Zn superoxide dismutase遺伝子(SOD1)の異常によって引き起こされている,というのである3,25)。
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