Japanese
English
特集 ALS(Motor neuron disease)
筋萎縮性側索硬化症における神経細胞脱落—これまでに明らかにされたことと,将来に残された問題点
The Quantitative Investigations on the Neuronal Loss in ALS
小柳 清光
1
,
生田 房弘
2
Kiyomitsu Oyanagi
1
,
Fusahiro Ikuta
2
1新潟大学脳研究所脳疾患標本センター
2新潟大学脳研究所実験神経病理学部門
1The Center for Materials of Brain Diseases, Brain Research Institute, Niigata University
2Department of Pathology, Brain Research Institute, Niigata University
キーワード:
ALS
,
motor neuron disease
,
neuronal loss
,
quantitative investigation
Keyword:
ALS
,
motor neuron disease
,
neuronal loss
,
quantitative investigation
pp.533-545
発行日 1992年6月1日
Published Date 1992/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900346
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I,はじめに
筋萎縮性側索硬化症amyotrophic lateral sclerosis(ALS)は,Charcot2,3)により1869年確立された疾患である。主として40〜50歳代の成人に発症する進行性の疾患であり,多くは一側上肢末梢の筋力低下・筋萎縮から始まり,次いで対側上肢さらに下肢が侵され,球麻痺症状を呈して2〜6年の経過で死亡する。錐体路症状がみられる一方,運動失調や錐体外路症状はみられず,眼球運動は保たれ,膀胱・直腸障害や褥瘡は通常認められない。自律神経機能も保たれており,感覚障害はみられず,視覚,聴覚に異常はない。意識,知能も保たれるという12,13)。
ALSの根本的な神経病理学的所見は,今を溯ること100余年,1869年Charcot and Joffroy3),1880年Charcot2),また1909年Holmes6)らによって既に観察しつくされたと言っても過言ではない。すなわち脊髄前角神経細胞の高度の萎縮と消失,側索,前索の神経繊維の減少と結合織の増加,前根の萎縮,舌下神経および起始核の変性,一方後角,後索および後根が保たれること,などが当時既に観察され報告されている。
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