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特集 神経疾患における神経細胞のサイズの問題
第一次脊髄知覚ニューロン
The Spinal Primary Sensory Neuron
大西 晃生
1
Akio Ohnishi
1
1産業医科大学神経内科
1Department of Neurology, University of Occupational and Environmental Health, Japan
pp.65-75
発行日 1988年1月1日
Published Date 1988/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406206041
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はじめに
臨床的に下肢の末梢性知覚神経障害が認められる患者においては,まず腰・仙髄知覚ニューロンの末梢性軸索突起(狭義の末梢神経),神経叢,神経細胞体,神経根(後根),中枢性軸索突起のいずれの部分に一次的病変が存在し,その結果どこに二次的病変が生じているかを明らかにし,その原因を追求することが重要である。この場合,腰,仙髄知覚ニュ—ロンすなわち脊髄知覚ニューロンの障害は,通常①末梢神経の障害,②脊髄後根—後索の障害,③神経細胞体の一次的病変による知覚ニューロン全体の障害などと判断されることが多い。
一方,下肢の温・痛覚の障害を主徴とし,深部感覚が軽微な症例では,小径有髄および無髄線維が障害され,小径の知覚ニューロンに障害があると判断される。また下肢の深部感覚の障害を主徴とし,温・痛覚の障害が軽微な症例では,大径有髄線維が障害され,大径の知覚ニューロンに障害があると判断される。
上記のような臨床的判断は,末梢神経,特に腓腹神経の組織学的検索結果および剖検材料の末梢神経,脊髄後根神経節,脊髄神経根,脊髄などの組織学的検索結果と臨床症状との対応関係の研究成果に基づくものである。
このような臨床神経学および臨床神経病理学的所見の対応関係の重要性を踏まえて,第一次知覚ニュ|ロンの神経細胞のサイズの問題に検討を加えたい。
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