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I.はじめに
中枢神経系の発生は胚芽層で増殖・分化したニューロンが胚芽層を離れて外套層を細胞移動し,その最終位置に達して標的ニューロンと神経結合を形成する過程である33)。成体の中枢神経系が複雑な構造を呈するのは,胚芽層でのニューロンの生産量が部位によっても発生段階によっても異なり,外套層における細胞移動が多様であり,さらに各ニューロンがそれぞれ固有の標的ニューロンと神経結合をいとなむためである。1959年以来3H-チミジンのオートラジオグラフィによってそれぞれの時期に発生したニューロンの灰白質における分布が詳細に記述できるようになった68)。しかし神経結合の形成についてはニューロン単位または伝導路単位でこれを形態学的に検索する方法が確立してないためにこの研究分野の所見はすこぶる乏しい。
本稿に与えられた表題は脊髄運動ニューロンの発生であるが,3H-チミジンのオートラジオグラフィによる鶏胚胸髄ニューロンの発生全般を記述し,とくに運動ニューロンの発生に焦点を置かなかった。特定のニューロンの発生もその周囲のニューロンの発生と対比してはじめて所見がより具体的になるという事情があるからである。
Time of origin and cell migration of spinal neurons were examined with tritiated thymidine autoradiography in the cervical enlargement and the thoracic cord of chick embryo. Single iniections of 20 me of isotope were given in yolk sac at stages 14, 16, 17, 20, 23, 26, 28 and 30 respectively, and embryos were fixed at stage 36. Observations concerning motor neurons are summarized as follows.
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