Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.色知覚の空間
これまで色覚のメカニズムの生理学的な研究の多くは,さまざまな波長の単色光に対するニューロンの反応を比較することによって行われてきた。これに対して,最近色知覚の空間(色空間)に基づいて視覚刺激を作り,これに対するニューロンの反応を調べたり,あるいは,破壊による行動への影響を調べる研究がサルの視覚系において見られるようになってきた1,4,9,12,13,16)。このような方法を用いた研究はこれからますます盛んに行われるようになると思われる。それは以下のような理由による。まずニューロンの反応と色知覚の関係を直接調べようと思った場合,色空間に基づいた刺激を使うのが自然な方法であることがある。色空間とは色知覚を定量的に表現する空間であり,この空間の各点は違う色を表わしている。たとえば図1に示したCIE(国際照明委員会) xy色度図は色空間の例であり,この図の各点は知覚的に区別される別の色を表わしている。したがって色空間の各点においてその色を刺激として用いてニューロンの応答を調べてマッピングを行えば,自然にニューロンの反応と色知覚の関係がもとめられる。一方,単色光は図1にみられるように色空間の外縁をしめているが,すべての単色光に対する反応を求めたとしても,外縁部分における反応の分布から色空間全体で反応がどのように分布しているかということを知ることは一般には不可能である。
In recent physiological studies of color vision in monkeys, there is a tendency that neural responses or animal behavior is characterized by using visual stimuli based on the color space derived from human color psychophysics. Several advantages exist in this method. Firstly, by means of mapping neuralresponses in the color space, we can directly correlate neuron activities with color perception. As an example of such an attempt, we have studied color selectivity of neurons in the inferior temporal (IT) cortex of the monkey by mapping neural responses on the CIExy chromaticity diagram.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.