Japanese
English
特集 脊髄の基礎と臨床
脊髄の介在ニューロン
Interneurones in the spinal cord
Elżbieta Jankowska
1
,
Anders Lundberg
1
,
山下 勝幸
2
Elżbieta Jankowska
1
,
Anders Lundberg
1
,
Masayuki Yamashita
2
1The Department of Physiology, University of Goteborg
2東京大学医学部脳研究施設神経生理学部門
1The Department of Physiology, University of Goteborg
2Department of Neurophysiology, Institute of Brain Research, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.614-622
発行日 1982年8月10日
Published Date 1982/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431905418
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はじめに
脊髄ニューロンの中で介在ニューロンは圧倒的大多数を占める。それらはαおよびγ運動ニューロンへの経路,自律系遠心性ニューロンへの経路,上行路ニューロンへの経路,そして一次求心性線維の終末を脱分極させる経路などに介在している1,3,15)。ここでは運動ニューロンへの経路における介在ニューロンの機能を論じ,脳がつかさどる運動に介在ニューロンがどのようにかかわるかという問題を主に考察する。まず強調したいことは,運動に対する脳の指令は運動ニューロンへの直接の経路よりむしろ介在ニューロンによって伝達されることである。このことは霊長類の最も複雑な随意運動においてさえ例外ではない。
これまで脊髄の介在ニューロン系の知識は,主として運動ニューロンへの多シナプス性の効果を調べるという間接的な手法によって得られてきたが,現在ではさらに直接的な方法により,機能を同定した単一介在ニューロンの運動ニューロンに対する投射と作用を解析することができるようになった。介在ニューロンはこれまで考えられてきた以上に複雑な機能を有し,単なる中継点としての機能をはるかに超えた働きをする。一般に個々の介在ニューロンは多種の感覚の一次求心性線維によって支配され,異なる上位中枢から下行性の調節を受ける。本稿ではこの収束という視点から,種々の介在ニューロン系が運動の形成にどのように関与するかについて述べる。
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